ビル改修コラム

マンション・ビルの大規模修繕工事における鉄部塗装とは? 劣化のサインを見逃さずに!

マンション・ビルの大規模修繕工事における鉄部塗装とは? 劣化のサインを見逃さずに!
マンション・ビルの大規模修繕工事では、屋上の防水や外壁塗装に加え鉄部塗装を行うのが一般的です。
鉄部塗装とは、玄関扉、エレベーターの扉・枠、外階段や扉、手すりなどの共用部分にある鉄部の劣化箇所に塗装を行う工事です。

代表的な工事箇所は以下になります。

・鉄骨階段
・非常階段の扉
・玄関扉/枠
・メーターボックス/消火栓ボックス
・駐車場/駐輪場
・給水管

鉄部が錆びるとマンション・ビルの美観を損なうだけでなく、衛生環境や強度も落ちるため、定期的に鉄部塗装を行い、鉄部の寿命を延ばすことが大切です。

今回は、マンション・ビルにおける鉄部の劣化と修繕の必要性、鉄部塗装のタイミングについてご紹介いたします。
マンション・ビルの鉄部塗装の重要性
マンション・ビルの鉄部塗装の重要性
マンション・ビルにおいて鉄部塗装が必要な理由として、以下の理由があげられます。

防錆効果
鉄は空気と水に触れると錆びるため、塗装によって鉄部を保護し、錆びの発生を防ぎます。
錆びが進行すると鉄部が劣化し、放置し続けてしまうと錆びの箇所に穴が開き、耐久性が低下する恐れがあります。

耐久性の向上
鉄部を保護している塗膜は、立地条件により差は生じますが、直射日光の当たる箇所は5年程度で塗膜の機能が低下していきます。
定期的に塗り替えることで、鉄部の耐久性が向上します。

美観の維持
錆びが発生すると、建物全体の印象が汚く、暗くなってしまいます。
鉄部塗装は建物の外観を美しく保つためにも重要です。

大規模修繕工事は15年前後の頻度で行われますが、鉄部の劣化は5年程度で生じるものです。
そのため、足場が無くても施工できる箇所においては、単独で塗装を実施することが多い工事です。
鉄部が劣化した状態のまま放置すると、修繕に手間や費用がかかってしまうケースもあるため、施工業者に相談し、適切なメンテナンス時期を調べることをおすすめします。
マンション・ビルの鉄部塗装のタイミングについて
マンション・ビルの鉄部塗装のタイミングについて
マンション・ビルの鉄部塗装実施のタイミングを見極めるには、劣化のサインを見落とさないことが大切です。
建物の立地条件などで塗膜の劣化状況は変わりますが、一般的な修繕周期は5年程度と言われています。

鉄部の劣化状況は、主に以下の4段階に分けて確認することができます。

①表面の色褪せ・艶がなくなる
鉄部の劣化の初期段階として、塗装が色褪せる、または、艶が無くなる症状があげられます。
5年程度経過した段階で発生するため、塗替え時期のタイミングを把握する目安になります。

②チョーキング現象
手で鉄部に触れた際、白っぽい粉が付着したらチョーキング現象のサインです。
チョーキング現象とは、塗装が紫外線や風雨、温度変化の影響を受け、徐々に表面の樹脂成分の劣化が進行し、塗料に含まれる顔料が浮き上がってしまっている状態を言います。
塗膜の機能が著しく低下している状態で見られる現象のため、一般的にはチョーキング現象が見られたら鉄部塗装の時期と覚えておくと良いでしょう。

③ひび割れ/塗膜の剥がれ
チョーキング現象後、劣化の進行をそのままにすると、塗膜にひび割れ剥がれが現れるようになります。
この状態になるまで放置してしまうと、塗膜としての保護機能は失われ、ひび割れや剥がれから鉄部が雨・空気に触れてしまい、錆びの発生に繋がってしまいます。

④錆びの発生
塗膜の機能を失った状態まで劣化が進み、鉄部が剥き出しになると、下地の鉄が直接雨水や空気にさらされるため錆びが生じてしまいます。
表面に発生しているだけのわずかな錆びであれば、サンドペーパーで落とし、錆び止めと塗料の塗り重ねで済むケースもあります。
鉄部に穴が開くまでダメージが深刻化したり、広範囲に腐食が進んだ状態になると、塗装では対応ができず、溶接や部材の交換をしなければならなくなります。
錆びや穴開きを発見した際は、速やかに施工業者にご相談ください。

マンション・ビルにおいて、鉄製の外階段や玄関扉などの共用部分は、建物の美観に大きく影響を及ぼします。
一度塗膜のひび割れや剥がれが起きると、塗装をしてもすぐに錆びてしまう可能性があるため、事前に防ぐためにも信頼できる施工業者に定期的に点検を依頼することをおすすめします。
大規模修繕工事に鉄部塗装工事も組み込み、長期的なスパンで修繕計画を立てながら、維持管理を心がけていきましょう。