ビル改修コラム

居たまま工事でビル改修工事をする時の3つの注意点

居たまま工事でビル改修工事をする時の3つの注意点
オフィスビル・テナントビルの「居たまま工事」とは、ビル改修工事をする際に、ビルの利用者が建物内に「居る」(入居)状態で施工する工事の方法です。
オフィスビルであればオフィスを使い続けて、商業ビルであれば商業施設の営業を止めることなく、建物や設備の改修工事を行うことができます。
「居たまま工事」は、ビル利用者の満足度等のメリットがあるだけでなく、ビルオーナー様のコスト削減、さらには省エネにもつながる、人にも環境にもやさしい工事です。
このような良い事づくしの「居たまま工事」のビル改修工事ですが、注意すべき点が3つあります。
注意点を踏まえて工事計画を練らないと思わぬトラブルに巻き込まれ、最悪、テナントとの係争に発展する可能性があるので「居たまま工事」は綿密な計画と細心の注意を払って工事を行うことが求められる難易度の高い工事と言えます。
業務に支障をきたさないようにする工夫
オフィスビルや商業ビルの「居たまま工事」を行う最大のメリットは、業務や営業を止めなくてよい、ということです。
しかしながら、改修工事の内容によっては、その場所を全く動かずに、というのが困難な場合があります。
その場合は、「居たまま工事」で改修するビル内で、工事をする(使わない・使えない)場所と工事をしない(使う・使える)場所に分けて、やり繰りして工事を計画します。
具体的には、1階を工事する期間は、1階で執務・営業している部署・店舗を工事をしていない別の階へ一時的に移動していただき、1階の工事が終了したら元の場所へ戻るのです。
各階を順次進めていきますが、一時的に移動する場所の確保は必要になります。
ワンフロアでの「居たまま工事」は、フロア内でエリアを分けて対応します。
業務の遂行や生産性への影響を最小限に抑えることができる方法です。
このような「居たまま工事」は、入居者との綿密な相談と計画が必要な難易度の高い工事と言えます。
騒音・振動を抑える工夫
自社ビル・収益ビルに関わらず、建物の利用者が居ながらの状態でビル改修工事を行う場合は、工事エリアを仮設間仕切りで区画したり、音や振動の出る作業や資材の搬出入などを利用者がいない夜間や休日に実施するなどの対応が必要となります。
そのためには、事前に利用状況を把握しておくことが大切になります。
建物の利用者がどの時間帯にどの場所をどのように利用しているのかを調査し、「居たまま工事」が与える影響を確認し、悪影響を最小限に抑えるように計画します。
工事エリアと利用エリアのゾーニング、平日日中か休日夜間等の施工時間による区別、施工方法、養生方法、足場仮設方法、セキュリティ関連等、工期や費用に影響するので、注意が必要です。
利用者の理解を得る工夫
利用者の理解を得る工夫
自社ビル・収益ビルを大切に長く使うことは、ビルオーナーにとっては収益改善を含む経営課題となる大きな問題です。
ビルオーナーや施工者は、「居たまま工事」のメリットを理解した上でビル改修工事を進めますが、「居たまま工事」のデメリット(騒音・振動)を受けるのは建物の利用者です。
建物の利用者に、ビルの改修が必要であることを伝えるとともに、「居たまま工事」のメリットとデメリットに関して理解していただくことが大切です。
また、ビル改修工事の着工前に、ビルの利用者だけでなく、近隣住民の方、近隣建物の利用者の方にも、工事期間や時間帯、工事内容の他、バルコニー使用規制情報や、騒音、振動、粉塵、臭気等の発生の通知を行うようにします。
工事中も、都度現在の工事状況や直近の工事予定などを周知し、ビル改修工事が無事終了するよう、最後までしっかりと対策しましょう。